ESG報告 ガバナンス
健全な企業経営の推進
当社は、企業活動の根幹をなす考え方として基本理念、経営理念及びPurposeを、個々の役職員が共有すべき価値観・⾏動軸として定めております。当社は、経営理念及びPurposeに基づく活動の実践を通じて、基本理念の実現に向けて、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図り、もって株主をはじめとするステークホルダーの皆様からの信認が得られるよう、適切な経営判断を迅速に⾏うと同時に、⾼い経営の透明性と経営監視機能を発揮するコーポレート・ガバナンス体制を確立し、企業価値の向上に努めます。
なお、詳細については、下段にあるファイル「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」をご参照ください。

コーポレート・ガバナンス体制
当社は、法定機関として、株主総会で選任された取締役及び監査役からなる取締役会、並びに監査役会を設置しています。これらの法定機関に加え、コーポレート・ガバナンスの強化の観点からリスク・コンプライアンス委員会、ハラスメント防止委員会及び内部監査室を設置しております。また業務執行部門において特定の担当領域において業務を執行する執行役員制度を導入しております。
当社では、取締役会において、法令及び社内規程(職務権限規程等)に基づき、会社の重要な業務執行を決定するとともに業務執行取締役及び執行役員の職務の執行を監督しております。また、業務執行の機動性と柔軟性を高め、経営の活力を増大させるために、当社は「執行役員会」「事業統括会議」「投資統括会議」を設置しており、その詳細については、コーポレート・ガバナンスに関する報告書「2.業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)」に記載の通りです。
ガバナンスストラクチャー

-「執行役員会」
構成員:常勤取締役を含む執行役員、常勤社外監査役
内容:取締役会の機能を強化し、意思決定が効率的かつ適切に行われるよう、主要な業務執行にかかわる協議・報告を行います。
-「事業統括会議」
構成員:常勤取締役を含む執行役員、各事業や子会社における事業責任者
内容:経営計画の進捗状況の報告、及び戦略の共有化を図り、当社グループの事業戦略について討議を行います。
-「投資統括会議」
構成員:常勤取締役を含む執行役員、投資事業の事業責任者候補者、常勤社外監査役
内容:M&A案件等に関するデューディリジェンス、バリュエーションの結果報告を共有し、投資に関する意思決定を行います。
-「指名・報酬委員会」
構成員:社外取締役及び代表取締役
内容:取締役の選任・解任、取締役の報酬に関する事項等に関して、取締役会の決議の前に審議し、取締役会に対して必要に応じて答申を行います。2024年6月、任意の諮問機関として設置しました。
-「監査役会」
構成員:常勤社外監査役1名及び非常勤社外監査役2名
内容:経営の監督機能として監査役会を設置し、監査役は、取締役会等の重要な会議に出席し、取締役の業務執行の適法性及び妥当性の監査を実施しております。
-「内部監査室」
構成員:代表取締役直轄の専任担当者
内容:業務の遂行状況を適法性と妥当性の観点から監査するため、当社及び連結子会社の内部監査を実施しております。監査役・会計監査人と連携する三様監査を通じて業務の適法性・妥当性を検証し、監査結果を取締役会等に報告。改善が必要な場合は、被監査部門への勧告とフォローアップを行います。
-「リスク・コンプライアンス委員会及びハラスメント防止委員会」
構成員:代表取締役社長執行役員CEO、業務執行取締役3名、法務部門長、オブザーバー(内部監査室担当者、監査役2名)
内容:従業員に対するコンプライアンス意識の啓発、法令違反行為の監視、リスク事項に関する検証およびハラスメント防止を目的に、リスクの検証、コンプライアンスの遵守、ハラスメント防止に係る取り組みの推進及び情報共有を実施しています。
取締役会
当社の取締役会は取締役5名(うち社外取締役2名)により構成されており、取締役会規程に則り、毎月1回の定例取締役会の他、必要に応じて機動的に臨時取締役会を開催し、業務を遂行するとともに、取締役間で相互に職務の遂行を監督しております。また、取締役会には監査役3名(3名全員が社外監査役)が出席し、必要に応じて意見陳述を行っております。
当社の取締役選定方針及びプロセスにつきましては、知識・経験・能力を全体としてバランスよく備え、多様性と適正規模を両立して構成されるよう配慮しつつ、性別及び年齢を問わず、当社グループの持続的な企業価値向上に向けて遺憾なく能力等を発揮できる候補者を、人格及び識見等を考慮の上、取締役会が選定しております。
また、社外取締役においては、社外取締役が取締役会における議案・審議等について、異なるバックグラウンドや専門領域をベースとして高い見識及び豊富な経験をもとに、客観的・中立的立場からの意見を提言することで、取締役会の適切な意思決定及びコーポレート・ガバナンスの強化につながると考えており、下段にあります当社における「社外役員独立性基準」と照らして判断の上、社外取締役を選定しております。
また、取締役会は、形式的な遵守確認にとどまらず、コンプライアンスの実効性を確認するため、以下のモニタリングを実施しています。
・当社代表取締役、事業統括、各子会社の代表取締役及びその他当社代表取締役が指定する者が出席する事業統括会議を隔週1回開催し、当社子会社に対し、営業成績、財務状況その他の重要な情報について当社への定期的な報告を義務付けております。
・原則として毎月1回取締役会を開催し、関連法令、経営判断の原則及び善良なる管理者の注意義務等に基づき、経営に関する重要事項について迅速かつ適切な決定を⾏うとともに、取締役は、職務の執⾏状況について報告しております。
・取締役会の機能を強化するため毎週1回執⾏役員会を開催し、主要な業務執⾏にかかわる協議・報告を⾏うことにより、意思決定が効率的かつ適切に⾏われるように努めております。
取締役会の構成員の多様性確保に向けたコミットメントと目標
当社は、2024年6月に任意の指名報酬委員会を設立しました。同委員会においては、取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任の強化のため、監査役を含む取締役会構成員の多様性を⾼めることについても議論を行ない、必要に応じ、取締役会における女性構成員の比率目標等の具体的な目標の設定についても検討して参ります。
取締役会に関するデータ
ガバナンス指標 | 2022年 3月期 | 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | 2025年 3月期 |
|
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取締役 | 取締役の数(計) | 5人 | 5人 | 5人 | 5人 |
女性取締役の数(計) | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | |
社内取締役の数(計) | 2人 | 2人 | 2人 | 2人 | |
独立社外取締役の数(計) | 2人 | 2人 | 2人 | 2人 | |
監査役 | 監査役の数(計) | 3人 | 3人 | 3人 | 3人 |
社外監査役の数(計) | 3人 | 3人 | 3人 | 3人 | |
独立監査役の数(計) | 2人 | 2人 | 2人 | 2人 | |
取締役会出席率 | 全体 | 100% | 100% | 99.22% | 100% |
取締役 | 100% | 100% | 100% | 100% | |
監査役 | 100% | 100% | 97.87% | 100% |
取締役会メンバーのスキルマトリックス
取締役会メンバーのスキルに関しては、当社の中⻑期的な経営戦略の実現に向けて、取締役会にて協議の上、決定しています。当社の取締役会メンバーのスキル・マトリックスは以下の通りです。

※年齢は2025年3月31日時点で記載しております。
※独立性は、「社外役員独立基準」を満たすものを〇としております。
取締役会実効性評価
当社の取締役会の実効性を確認し、改善点に関する今後の方向性の認識合わせを目的として、年1回を目安とし、取締役実効性評価を行っています。
2025年5月に取締役・監査役全8名に対し、設問数20、設問ごとに5点満点とし、アンケートを実施しました。今回の全スコア平均は4.33と前年の4.23を上回る結果となりました。開催頻度・付議事項・開催形式の適切性など多くの事項については高い評価がなされましたが、後継者計画や内部統制/リスク管理に関しては課題が残っているという認識が示されました。
企業倫理とコンプライアンス方針
当社は、取締役会の決議により「内部統制システム構築の基本方針」を定め、当社及び当社の子会社の取締役及び使用人の職務の執⾏が法令及び定款に適合することを確保するための体制構築の指針としており、「コンプライアンス規程」により、法令、定款、社内規程、公序良俗および道徳規範(以下、「法令倫理」といいます)の遵守(以下、「コンプライアンス」といいます。)義務や、リスク・コンプライアンス委員会の運用について定めております。
また、当社及び当社子会社は、コンプライアンスのために、従業員(契約社員を含む)及び派遣社員に対して、必要な教育を企画し、実施しています。その他、当社は以下の規程を定めております。
・内部通報規程(当社グループ全体の従業員等を対象とする内部通報窓口に関する規程)
・ハラスメント防止規程(ハラスメントの禁止及びハラスメント防止委員会に関する規程)
・内部者取引管理規程(インサイダー取引の防止、当社株式売買に関する手続き等を定めた規程)
・反社会的勢力排除規程、反社会的勢力への対応に関する基本方針
財務の信頼性についても、当社の「内部統制システムの構築の基本方針」による定めており、金融商品取引法の定める内部統制報告制度に準拠した財務報告にかかる内部統制システムの構築を実行しております。
情報セキュリティ対策・インシデント管理
プライバシーマーク認証を取得して個人情報管理体制を整備するとともに、全社横断の情報セキュリティ対策プロジェクトにより、システムセキュリティ対策や脆弱性診断などのサイバーセキュリティ対応を実施しています。またセキュリティのみならず、当社グループの事業活動の過程で発生した各種インシデントに適切に対応するためガイドラインを設定し、法務部門を中心としてインシデント管理事務局が主導して、迅速にインシデントの影響を最小化するとともに再発防止に取り組んでいます。
企業倫理・コンプライアンスの監査
当社の内部監査においては、当社及び当社子会社の役職員等による業務執行が法令倫理に違反していないか等の監査を毎年実施することで、コンプライアンスの実効性を担保しています。当該内部監査は、年度監査計画に基づき、当社グループのコンプライアンスに関する重点的なテーマを選定し、コンプライアンスに関する内部監査を実施しております。当社の内部監査は、代表取締役社⻑兼CEO 直轄の内部監査室において、従業員1名(2025年7⽉1⽇時点) により⾏われています。内部監査室が不備を発⾒した場合は、被監査部⾨に通知し、改善を促し、改善状況のフォローアップも実施しております。
企業倫理とコンプライアンス向上に向けた取り組み
企業倫理基準に関する社員教育
当社及びグループ会社の取締役を主たる対象者とし、随時「取締役の義務と責任」等について研修を行っております。加えて、当社及びグループ会社は、従業員等を対象とし、年に一度、コンプライアンス研修を実施し、コンプライアンス意識の醸成に努めております。また、従業員が「コンプライアンス規程」に違反した場合、従業員評価への反映に加えて、懲戒処分(戒告や減給、解雇など)の対象となることをコンプライアンス規程で定めています。これにより、インサイダー取引防止、ハラスメント、インシデント管理、内部通報等に関する内容、その他従業員が遭遇しうる状況を題材にして、対応に必要な考え⽅や社会・社内のルールを啓発しています。
2025年度の当社における全ての従業員(契約社員・派遣社員・アルバイトも含む)を対象とした「コンプライアンス研修」の受講率は100%でした。なお、当該研修においては、理解度テストを実施しており、合格点を超えるまで再テストを求めております。また、別途個人情報保護の研修を1年に1回実施し、同様の受講状況により、個人情報の取り扱いに関する知識を維持・向上させております。
通報窓口の設置及び内部通報者の保護
当社及び当社子会社は、内部通報窓⼝に関しては公益通報者保護法に基づき制定した「内部通報規程」にて定めており、当社グループの全ての従業員(契約社員を含む)や派遣社員がコンプライアンスに関する問題を発⾒した場合に、迅速に当社に情報伝達できる体制を構築しています。通報窓口は、監査役が担当する監査役窓口と、外部の法律事務所が窓口を務める外部窓口の二種を用意しており、通報者が任意で選択可能です。
報告⼜は通報を受けた担当監査役又は外部窓口から報告を受けた内部通報責任部署は、その内容に応じ、外部専門家・関係部署と協議の上、対応方法を決定し、実施します。
また、当社グループは内部通報窓口の他、社内の人事部門・管理部門が所管となるHR相談窓口を設置し、各種ハラスメント・雇用契約・人事評価等に関して広く相談を受け付けており、問題が重篤化する前に相談しやすい環境を整えております。
当社グループでは、内部通報窓⼝及びHR相談窓口に関しては、社内ポータルサイトへの掲載、入社時のガイダンス、定期的な研修の他、随時周知を行なっております。
贈収賄及び汚職に関する方針と取り組み
当社グループで設置している内部通報窓口においては、海外子会社からの通報を含め、贈収賄及び汚職に関する通報も受け付けております。現状では、当社グループの規模・性質より、贈収賄及び汚職防止に関する個別の規定・ルール等は用意しておりませんが、今後の事業展開・海外展開等を踏まえ、当該行為を防止するための規程・ルールの整備が必要と考えており、制定を検討しております。
企業倫理・リスクマネジメントに関する方針
当社は、内部統制における重要な点の一つがリスク管理であると考えております。そこで、「危機管理規程」を定め、自然災害、知的財産権への侵害、情報漏洩等のリスクへの適切な対応について、文書化し、迅速な対応及び管理が⾏えるよう備え、統制を⾏っております。また、経営管理部及び経営戦略部が各事業部門との連携を取り、常に情報を収集し、リスク・コンプライアンス委員会で共有することにより、リスクの早期発見と防止に努めております。
当社は、事業の運営上、多数の個人情報を扱う企業でもあるため、個人情報及び機密情報管理の重要性を強く認識しており、個人情報保護規程を敷くとともに、2010年8月にJIS Q 15001に基づくプライバシーマークの付与認定を受け、適正な管理を進めております。
ヒートマップ分析による優先するリスクの可視化

当社グループに影響を与えうる主要リスクについて、そのリスクの発生可能性と影響度という2軸から重要度を可視化しております。
重要度の⾼いリスク項目としては、マクロ環境に係るリスク、システム関連リスク、人材関連リスク、技術革新、業務執⾏及び監督体制、競争環境に係るリスクが挙げられます。
マクロ環境に係るリスクについては、各国中央銀⾏による⾦融政策の変更等に伴う景気への影響懸念があります。こうした先⾏きの不透明性等に起因してクライアントの人材採用需要やシステム投資需要等に影響を及ぼす可能性があります。一方で、アフターコロナにおける海外渡航需要の回復といったポジティブなマクロ環境の変化もあります。このようなマクロ状況を適切に見極めながら、リスクの最小化と機会の最大化に努めてまいります。
システム関連リスクについては、近年のDX機運の⾼まりやそれによるICT活用の広まり等を背景として、サイバー攻撃の被害件数は拡大傾向にあると認識しております。当社ではセキュリティマネジメントユニット主導でガイドラインの策定や従業員への周知啓蒙等を⾏うことで対策をしております。
人材関連リスクとしては、新興企業等の採用力の上昇により、採用難易度や離職率に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、福利厚生の拡充や報酬テーブルの引き上げ、働き甲斐の確保などによって対策を講じております。また創業以来、当社の経営を牽引している代表取締役社長執⾏役員CEOの平尾丈への人物依存リスクもあります。これに対しては適切な権限委譲や経営ノウハウ・思考法等の共有により、育成に取り組んでいます。今後においてはより具体的なサクセッションプランの策定も検討してまいります。
技術革新については、AIの研究・開発企業であるOpenAI社が提供するChatGPTといったAIサービスの広まり等もありますが、こういった新技術/サービスが既存のビジネスモデルやユーザー⾏動等に与える影響は注視していく必要があります。当社ではこうした既存サービスへのネガティブな影響という側面だけでなく、適切に活用することによって、より付加価値を⾼められる可能性もあると考えております。 その他にも積極的なM&Aに伴うグループ会社数の増加による経営管理の複雑化や、一部の領域における競争環境の激化といったリスクが重要度の⾼い項目としてあげられます。上述のようなリスクに対しては、経営陣や各種関係部署が適切に連携し、定期的なリスク分析によって、グループ全体のリスク把握及びその顕在化の防止に努めつつ、万が一、当該リスクが顕在化した場合には、迅速かつ適切な判断及び対策を講じることによって、持続的な成長に繋げてまいります。
